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2006年4月21日 (金)

ティッチボーン (ハンプシャーを自転車で)

ニューアレスフォードからウィンチェスター方面へ、ここで少しコースを外れると、ティッチボーンという村落がある。藁葺きの家が何軒も建つ、のどかな村だ。

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自転車で通過したときはちょうど12時で、村のパブ「ティッチボーンアームス」の裏庭のテーブルで食事を楽しむお婆さんたちが嬉々として話に興じていた。パブ以外は静寂そのもの、車の音もテレビの音も聞こえない。村の真ん中はほんの少し丘になっていて、坂を登ったところの辻道でおじいさん2人が立話をしていた。

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村を通過してすぐ、自転車の家族連れとすれ違った。挨拶をした。若い両親と6歳ぐらいの男の子。それぞれヘルメットをかぶり、それぞれ自転車に乗っている。私はしばらく走って、ふと立ち止り振り返った。

振り返った方向に、自転車家族が走っているのが見える。赤いヘルメットをかぶった男の子が、白いヘルメットをかぶった両親と一緒に走っている。道は緩やかに左に曲がり、ティッチボーンの、緩やかな丘に並ぶ藁葺きの集落を背景にして、家族が自転車で走っている。鳥のさえずりと家族の声以外は、何も聞こえない。なんとのどかなんだろうか。

正面を向きなおし、走り出すと、左に小川が流れているのに気がついた。濁りのない川面が芝の川岸から溢れんばかりの豊かな水量で、トウトウと流れている。流れる先を見ると、道路わきから離れ、草原の真ん中に向かって、ずっと先までトウトウと流れている。なんと美しいのだろうか。

Imgp2134もう一度とまり、振り返って村を見た。小川は村落近くからこちらに向かって流れている。そして家族は遥か彼方、藁葺きの集落の入り口にいて、もうすぐ集落の中に入って見えなくなるところだった。男の子が遅れたのを、両親が村の入り口で、止まって待っていた。藁葺きの集落を背景にして、待っていた。晴天の日差しを受けて、なんと美しい景色なんだろう。

あの家族も、もうすぐティッチボーンアームスのお婆さんたちの嬉々とした声を聞くだろう。ひょっとすると、辻道のおじいさんに道を尋ねるかも知れない。

家族は村落に入り、見えなくなった。私はまた正面を向き、川を見ながら走り出した。道は丘の向こうへとずっと続いていた。

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