ホテルにチェックインし、部屋で手短にシャワーを浴びて着替えてから食堂へ。夕食はいくつかあるメニューから選べる。助かるなぁ。生姜焼き定食と、追加でノンアルコールビールを所望し一人で乾杯。ノンアルコールでも酔っ払った気分になった。生姜焼き定食もおいしく食べられた。食後、早速大浴場に行き、体を流してくつろいだ。なお、この大浴場には脱衣所にコインランドリーがあるので、うまく使えればジャージの着替え持参は不要にできるかもしれない。
大浴場から戻り、アラームをセットして就寝。このとき既に午後10時半になっていたので、計画書の出発予定時間午前0時にあわせ、とにかく1時間半の睡眠をとろうと1時間半のアラームをセットして・・・すぐに熟睡した。
・・・自然に目が覚めた。アラームで目が覚めたのではない。時計を見ると午前1:09。寝過ごしたらしい。そういえばアラームが鳴ったとき一瞬起きて直ぐ寝たような記憶がオボロゲながらある。1時間ほどの超過かムニャムニャ・・・と、慌てもせず起きだして出発の準備をした。着替えて荷物をまとめて忘れ物ないようによく確認して、フロントへ。ノンアルコールビールの代金を払って、自転車の無事を確認して、フロントの美しい女性から「がんばってください」と言われ、テレながら自転車のところへ。自転車に貼り付けてある計画表を確認した。
・・・今、午前1:42だから、計画表から凡そ2時間遅れでホテル出発かぁ。ホテルに5時間弱居たことになる。寝坊したなぁ。以降の予定を2時間ずつ順送りにすると、ゴールは15:00。問題ない。次のPC6のセブンイレブン伊王野は、計画表から2時間ずらして7:02am着かぁ・・・ ん?これって0:10発のPC6クローズタイムの7:02amとぴったり同じではないか! これはイカン・・・
▲この時点で1:44am。写真の赤い自転車のかたは完走されただろうか。
まあこんなわけで、ギリギリであることに気が付いてから慌てだした。1:09に自然に目が覚めて、結果としてぴったり間に合うぐらいに出発することになるなんて不思議だな、と思いながらバタバタと荷物を自転車に取り付ける。そして出発。
国道49号はすっかり交通量が減って走りやすい。信号は少なくなく信号停止が多いもののストレス無く走れる。なによりも、自然に目が覚めたせいか眠気もなく、生姜焼き定食も良く消化されているようで体全体の調子がよい。
途中、26インチのブラウンカラーの方を追い抜いた。追い抜きながら「まだ間に合いますよ、がんばりましょう」と挨拶した。だが直後、ふと、無責任だったかな?と、つまり私はこのくらいのペース+多少の休憩でクローズタイムにぎりぎりだと認識しているのに、追い抜きながら「まだ間に合う」と発言するとは如何なものか・・・ そこでペースを少し落とし、その方としばらく一緒に走った。朝食をとってなかったので、次のコンビニで停止し休憩を取る。そのかたも休憩をとられた。時刻は2:12am。
その方と、先ほどぐらいのペースでぎりぎりですね・・・という旨お話をしたところ、なんでもタイヤがスローパンクしているとのこと。チューブは使い果たしたので、だんだんと抜けていくのはなんともし難く、ハイペースには付いていけないとのこと。私はチューブは持ってはいるが、700C用だったし、シーラント等は持っていない。このとき立ち寄ったコンビニは郡山から12kmの地点。これから先、進めば、電車の便は悪くなるばかりだ。その方は自ら、大変残念ながらDNFを決断された。ここまでの走行距離380.9km、裏磐梯も土湯も越えてきたのに本当に残念だ。「がんばってください」と言われ、たしかに私も頑張らなければ間に合わない立場であることを思い返し、名残惜しかったが2:19am、その方と別れコンビニを出発した。
先を急ぐが、次のPC6「セブンイレブン福島平田店」までは登り基調だ。ペースを落とさず、踏まず、とにかくクルクルまわして先を急ぐ。真夜中の山道は暗く静かなものだ。時々、車が追い抜いていく。そしてまた暗闇と静寂。
時々、視界に赤い光がちらちらするようになったなと思って走りながら辺りを見回したら、光源は自分の自転車で、後方で即席LEDリアライトのガムテープが外れてライトがブラブラとぶら下がっていた。ブラブラしながら赤く前方を照らしていたのがちらちら見えていたのだ。フックでひっかかって道路への落下は免れたらしい。助かった。停止して、「こんなときこそ慌てずに」と、ぶつぶつ言いながら修理する。停まってみると周囲は本当に静かな暗闇で、もしこんな場所で走行不能になったら手も足もでないだろう。
リアライト修理完了、再び、登りはじめる。トラックが数台追い抜いていき、また静寂になったとき異変が起こった。なにかに強烈に後輪を掴まれたような強い抵抗が!ペダルが回らない!うわ!と思うまもなく自転車が坂道で完全に停止した。一瞬の出来事だったが即座にビンディングを外し、地に脚を着き事なきを得た。停まると暗闇。そして静か。振り返り、暗がりの中後輪を見るとなにかが挟まっている。恐ろしいものをみるのではないかと、恐々ながらヘッドトーチ代りにヘルメットに備え付けているKnogのLEDを点灯し確認したところ、なんとサドルバッグが落ちていた。サドルレール取り付け部分が取れていて、シートポスト取り付けのベルクロで辛うじて地面に落下せずシートポストからぶら下がり、どこか柔らかい部分がうまいことホイールに挟まって自転車が停まったらしい。例の即席LEDはまたもやフックのお陰で地面に激突せずに済んでいた。
先ほどにもまして「こんなときこそ慌てずに」と何度も唱える。現状を良く確認して、トラブル前よりも安全に復帰させなければ。もし、取り付け部品から破損していたら再起不能であり大変なことだ。この先進むもならず、郡山にもどらなければならない。ホイールの振れも心配だ。
幸いにも取付部品に破損はなかった。ホテルで慌てていてサドルバッグの取り付けが甘かったらしい。カチンと鳴るまで押し込むべきところを、押し込んでいなかった。あらためて押し込もうとしたが、押し込めない。取り付け部品の位置の調整が必要だ。「こんなときこそ慌てずに」と繰り返しながらドライバーを取り出し、一旦、サドルバッグと取り付け部品を全て外して、取り付け部品の位置を改良して調整し、サドルバッグをキチンと取り付け、LEDも改良して取り付けた。大丈夫、走れそうだ。ホイールを廻し確認したところ、見た目、振れはない。
午前2時53分。静寂の中、走り出す。問題はなさそうだ。助かった。考えてみれば、スピードの遅いのぼりだったから助かった。下りだったら間違いなく転倒していたし、自転車もタダではすまなかったはずだ。登りや平地でも、交通量の多い道だったら車道側に倒れていたかもしれない。本当に、不幸中の幸い、というか、大変に運が良かったといえるだろう。
そんなことを考えていたら、なにやら集落にさしかかった。平田の集落らしい。コーナーをまがると緩やかな坂の遥か彼方の路上にたくさんの街灯があって明るかった。その街灯に照らされ、犬が一匹、ずっとこちらを見ているのが見えた。対向車線の真ん中に、体は中央車線向き、首だけこちらに向け、身動きせずにじっと私が近づくのを見ている。ああ、あれが噂の平田近辺の野犬か。去年、参加者が吼えられたり追いかけられたりしたとかという話だったな。なにかするのかな?だんだんと犬との距離が詰まってきて、いよいよ目の前を通過しようかというとき、犬は一瞬私に向かって走り出すそぶりをみせたが、動いたのは一瞬だけで「ウゲッ」みたいな変な声を出してもとの姿勢にもどった。
汗臭かったか?息もくさかったか?「ウゲッ」とは失礼な犬だ。まあ、緩やかな登りだったけど32km/h程度だしてたから臆したのだろう。なんにしても野犬に絡まれなくて良かった。
かくして、郡山から20km足らずで色々あったがPC6「セブンイレブン福島平田店」に到着した。時刻は3:09am、走行距離は397.2km。3名の参加者各位が休憩中だった。必要な補給をして急ぎPC6を出る。PC6を出たのが3:16amだった。計画表と照合すると、郡山出発時よりも状況は悪化している。計画表どおりだと、PC7到着は7:16am。PCクローズは7:02amだからタイムアウトだ。この区間はアップダウンがあるので、計画表では山岳として扱い1時間の余裕を見ているからおそらく問題なく間に合うとは思っているが、こうもギリギリとは・・・。
平田から戸中峠までは休まず走った。登って下っての繰り返し、幸い嫌いじゃない地形なので飽きずに走り続けることができた。先を急ぎ、たくさんの参加者の皆様を追い抜いた。抜くたびにご挨拶するが皆様苦しそう。私は比較的元気なほうだ。寝坊したとはいえ結果として、しっかり食べ、長めに寝たのは正解だったのかもしれない。
PC6からPC7のこの区間は広い農道で走りやすいし、暗がりといっても三石山や清澄山を丑三つ時に上り下りしている千葉っ子にとっては恐怖ではない。ブリーフィングの注意どおり、下りの途中、グレーチングの縦方向の段差がかなりある箇所が数箇所あったのでその点だけはよく注意して走った。AJ千葉スタッフの皆様の試走のフィードバックはいつもながら本当に的確だ。他に注意したのは、停止標識。こんな山奥みたいな場所、しかも真夜中だけど、交差する道は案外と車が走っていたのでちゃんと停止し確認しないと危険なのだ。
さて走りやすいとはいえアップダウンはずっと続く。こんどこそ最後の戸中峠への登坂と念じて登りきっても、影武者に次ぐ影武者でなかなかラスボスにたどり着かない。登って下ってまた登り。いい加減にしろ!と思っていたら夜が明けてきた。夜明けと共に地元の皆さんが草刈を始めておられた。この日は集落の草刈の日だったのかもしれない。ちょっとした街が見えて、街を見ながら気持ちよく坂を下っていたらミスコースだった。坂をくだってはいけなかったらしい。慌てて登りなおす。上りなおしてその村落を抜けたら、今度は正真正銘の戸中峠への登坂だった。
▲そしてついに戸中峠着。時刻は6:00am、走行距離は452.05km。
戸中峠から下り、PC7「セブンイレブン那須伊王野」に到着。時刻は6:24am。走行距離462.96km。クローズ時間まで38分の余裕を残して到着した。心地よい疲れだ。食欲もあるし眠気も無い。体も関節も痛くない。本当に上出来。体操して食事して、6:45amにPC7を出発した。残りは137km。このときは「遅くとも6時間あればつくだろう、5時間寝たけど結局は計画書の通りだな」と思っていた。この後こそが今回のブルベ最大の試練であることも知らずに・・・
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